「ゼロ課とは、会長職を統べる者だけが持てる特別部隊だ」
 そんな組織があること事体知らなかった。
「秋斗の行きそうな場所がわかる人間は司くらいかと思ってここまで来た」
「蔵元さんは?」
「蔵元と若槻の心当たりはすでに当たった」
 何やってるんだか……。
「それから、涼さんにもこの事態は知れている」
「父さんがどうして……?」
「秋斗が飲んでいる薬の残量を知る必要があった」
「……あと何日?」
「あと二日だ。それまでに見つけ出してくれ。地下駐車場にゼロ課の支倉(はせくら)を待たせている。好きに使え」
「了解……」
 話はそれで終わり、翠のもとへと急いだ。