光のもとでⅠ

 翠が首の後ろに手を回し、チェーンと格闘し始めた。
「……外すの?」
 もう少しくらいつけていてくれたらいいのに。
「だって、ちゃんと見たいんだもの」
 大きな目を見開いて、「見たい」と言う。
 そういうことなら――。
「わかった、外すから」
 ものすごくベーシックな留め金だと思う。
 こういうの、男よりも女のほうが慣れてるものだろうに、翠は外せなかった。
 もしかしたら、指先が痛むのかもしれない。
「ほら」
 翠の手の平に乗せてやると、まるで花が綻ぶように笑った。
「きれい……かわいい、ありがとう」
 久しぶりに見た笑顔。
 何か、胸にこみ上げてくるものがあった。