光のもとでⅠ

 九階に着くと、ナースセンターには栞さんがいた。
 新しい医師は不在、か……?
「インターハイ、どうだった?」
「それなりに」
「それじゃわからないでしょう?」
「……二位入賞です」
「おめでとうっ! 今度お祝いしましょうね」
「遠慮しておきます」
「もう……司くんは相変わらずそういうの嫌がるのね?」
 突っかかるでもいじるでもなく、こんな対応をしてくれる人は栞さんや藤原さんくらいなものだ。
 病室へ入ると、「あっ」って顔をした翠がいた。
 最初の一言は、「どうだった?」ではないと思う。
 少しして、翠は「おかえりなさい」と口にした。