光のもとでⅠ

「翠葉ちゃん、かわいい子ね? ハナったら一度も吼えなかったのよ? それどころか、口をペロペロ舐めにいくくらい!」
「……そう」
 してやられた……。
 まさか父さんに先を越されるとは思っていなかった。
 翠にハナを会わせるのは俺だと思っていたのに。
 どこまでも思考回路が似ている父さんが恨めしい……。
 しかも、俺がいない間に、というのが腹立たしくも思えた。

 夕飯を食べ終え、シャワーを浴びにいこうと思ったとき、ポケットの中のものに気づき母さんに声をかける。
「シルバーのチェーン持ってない?」
「……チェーンって、ネックレスとかの?」
「そう」