光のもとでⅠ

「……どうしてそこまで落ち着いてられる?」
「そりゃ、俺が普段のおまえに訊きたいことだ」
 静はどんな場面であろうと表情すら崩さずに対応する。
 それは高校のときから変わらない。
「俺はそういうふうに育てられている」
 あぁ、帝王学ってやつか……。
「あのさ、どういう因果かは知らないけど、俺とおまえが親友であるように、息子の蒼樹も秋斗くんとお友達なんだよね。で、翠葉が記憶を無くしたときは、電話の向こうですごい剣幕だったわけだけど、数日したら秋斗くんのフォローをする電話をしてきた」
「え?」
 あぁ、驚いてる驚いてる……。
 今日は珍しいものが見れてラッキーだな。
 そんなことを考えていると口もとが緩む。