光のもとでⅠ

 そのままでの私でいいと、記憶があってもなくても変わらないと……。
 少し困るのは、秋斗さんが私に持っている感情が恋愛感情だから。
 私にはよくわからない。
 思い出せないというよりも、その感情がよくわからない……。
 私は初恋をしたそうだけど、その記憶が私にはなく、どんな感情なのかもよくわからないから。
 だから、少し困る……。
「メール打ったら俺が送信してくるけど?」
「……なんて返信したらいいのか悩んでる」
「会いたいって言われたならいいか悪いかのどっちかだろ?」
 そう言われると、とても簡単なことに思えた。
「じゃ、少し待ってもらえる?」
 ツカサは何も言わずに本を広げた。