鍼を刺しても次々と移動する痛みに、先生は追うことをやめずに鍼を刺し続けてくれた。
 でも、激痛発作は怖い。
 一緒に闘ってくれる人がいても、痛みが軽減されるわけでもなければ、つらいことに変わりはないのだ。
 怖い――痛みがくるそのときが怖くてたまらない。

 ソファにタオルケットがかかっていることから、昨晩から先生はずっとこの病室にいてくれたのだろうと悟る。
「先生、眠れた……?」
「嘘をついても仕方ねぇな。仮眠を取る程度には寝たさ」
 先生はあくびをしながら答え、窓際へ行くとカーテンを開けた。