「そのくらいには疲れてるんだよ」
「ん……」
 あの日、私はツカサにありがとうを伝えられないまま意識を手放した。
 どうやら軽い不整脈だったみたい。
 意識を失っている間に紫先生が診てくれたらしく、随時モニタリングされていることもあり、危ない状態ではないことからICUに入ることはなかったのだとか。
「蒼兄……意識を失いたくないと思っていたら、意識を手放さずにいられたらいいのにね」
「それはちょっと難しくないか? ほら、眠くて寝オチ、とかそういう問題じゃないわけだからさ。血圧や不整脈が絡んで意識がなくなるのはどうしようもないだろ? そこまでコントロールしようと思わなくてもいいんじゃないか?」
「……だって……いっつもいっつもいっつもいっつも――倒れたくないときに倒れる。本当は、自分が逃げたくてしょうがないから意識を手放していたりするのかなっ!?」
 ベッドから背を起こすと、突如眩暈が襲う。