「逆に、時間をかけても思い出せるわけじゃないんだろ? なら、知識として頭に入っていればそれでいいんじゃないの?」
 ポンポン、と反論できないような言葉返される。
 反論する余地など私にはない。
 現に、こんなに時間をかけて話してもらっているのに、私は何ひとつ思い出せてはいないのだから。
 ふたりに関することは何ひとつ思い出せていないのだから――。
「異論がないなら次」
 ツカサの頭には機械が入っているのかもしれない。
 その機械の検索データに引っかかったものだけを口にする。
 そんな話し方が続いた。