昇さんが病室を出ると、ものすごく機嫌の悪そうなツカサが戻ってきた。
 眉間のしわがいつもよりも深い。
 そして、戻ってくるなり淡々と話し始めた。
 その話のテンポは異様なまでに速く、話を理解するというよりも、話を聞くこと事体に集中しなくてはいけない感じ。
 今日会ったときのような、話を始めたときのようなこちらを気遣う雰囲気は一切なくなっていた。
 いったいいつからだっただろう。どのたりからだっただろう。
 何か、どこかで気づかなくてはいけなかったものを見落としてしまった気分だ。
 そのことには秋斗さんも気づいているようで、名前を呼び捨てで呼ぶいきさつを話し終わるとすぐに制止しに入った。
「ツカサ、そんな読み上げるような話し方じゃ翠葉ちゃんはついていけない」
「だから?」
 ツカサは冷たい視線を秋斗さんへ向けた。