会話の意味を理解できないでいると、「だって」と唯兄がニィっと笑った。
「ダメっ子でもなんでもいいよ。そのときはそのとき。俺たち兄妹は何も変わらない。こんな保険でもないよりはいいでしょ?」
 唯兄はポンポンと頭を叩いては、屈託のない笑顔でにこりと笑ってくれた。
「よかったな、翠葉。唯は今までの翠葉を見てきたうえで正式な家族になったんだ。だから、こんなことくらいじゃ何も変わらないって」
「ほら、あとちょっとがんばってきなっ!」
 私は蒼兄と唯兄のあたたかな手に背を押されて病室への一歩を踏み出した。

 病室へ入ると、
「遅い……」
 ツカサは壁に寄りかかり立っていた。