「はい」
「無理はしないようにね」
「……楓先生、無理はどこからのことを言うのかな。無理は何に対して言うのかな」
 口にしてはっとする。
「先生、ごめんなさいっ。これは自分で考えなくちゃいけないことだからっ。あのっ、訊いたこと忘れてくださいっ」
 楓先生は少し寂しそうに笑った。
「いつでもなんでも訊いてくれてかまわないよ? なんでも話して? そのほうが翠葉ちゃんらしいよ」
 言うと、軽く頭にポンと手を置いて、「またね」と去っていった。