「いらない――。もう謝ってもらった。それは覚えているだろ? 病院にみんなで来たとき、俺たちはもう謝ってもらってるし仲直りも済んでる。だから、そんなに何度も謝るな」
「……わかった」
 蒼兄に寄りかかったまま少し休ませてもらい、唯兄が買ってきてくれたミネラルウォーターを半分飲んでから病室に戻ることにした。
「あと少し、がんばれ」
 蒼兄の声はいつもと違って力強いものだった。
「うん」
 廊下を歩いていくと、正面から楓先生が歩いてきた。
「……大丈夫?」
「……はい。私は大丈夫です。たぶん、だめなのは秋斗さんとツカサ……」
「そっか、うちの男どもは情けないな。……俺は仕事に戻るけど、また来るね」
 楓先生は少しかがんで視線を合わせてくれる。