光のもとでⅠ

 ふたりを交互に見ると、
「栞さんから連絡もらったときはそれなりに慌ててたけどね」
 蒼兄が苦笑する。
「そうそう。俺もやっとノンストップ無限ワークから解放されたと思ってたから、今度は何をやらかすんじゃいっ! って思ってたんだけど、急いで駆けつけてみたら意外と普通に話してるからさ。俺たちは安心してあの場を離れたんだ」
 蒼兄も唯兄も、秋斗さんとツカサのことを信じているのだろう。
「実際さ、俺たちよりも病室前にいる人たちのほうが重症」
 蒼兄が廊下の先、病室の前を振り返る。
「そうそう。あそこにいるのはリィ症候群末期だね」
「何それ……」
 唯兄の茶化した物言いに口もとが緩む。