光のもとでⅠ

「翠葉」
 ……え?
「リィ」
 空耳……?
 そうは思いつつ、声が聞こえた方へと振り返る。
 振り返れば、そこには声の主が立っているわけで――。
「蒼兄……唯兄……どうして?」
 口は動くけど、声は出ていなかった。
「どうして、じゃない」
 渋い声を出したのは蒼兄。
「ホントだよ。俺達ロビーにいたのに見向きもせず黙々と携帯ゾーンに向かうんだからさ」
 唯兄が呆れながら口にし、ふたりが近くまで来ると、「大丈夫か?」と訊かれた。
「蒼兄、大丈夫っていうか、だめっていうか……だめなのは私で、大丈夫じゃないのは秋斗さんとツカサかも……」