ただ、胃に負担をかけるだけの行為ならば、二度としない。
 でもね――。
 あのときはとにかく楽になりたかったの。
 少しでもいいから眠らせてほしかった。
 痛みから解放されたかった。
 ただ、神経を休ませてほしかったの……。
 だって、もうどのくらい寝てないのかわからなかった。
「その日は昇さんが帰国する日で、湊先生も栞さんもいなかったはずなんです。でも……私は気づいたら病院にいました」
 ツカサは小さく息を吐き出し、秋斗さんは困った人の顔で口を開く。
「今度は俺たちが話をする番だ。……翠葉ちゃん、君が俺を傷つけたのはこの日だよ。でも、この日のこれだけだから……」
 始まる――。
 ぽっかりと抜け落ちた私の記憶たちの話が……。