「それ、何日くらいの話?」
 ツカサが手帳をちらりと見た。
「……たぶん、夏休みに入った翌週くらいかな」
 このあたりは日にちの記憶が曖昧すぎる。
 曜日感覚なんてものはとっくになくなっていたし、自分で日付を把握することはできず、いつも携帯を見て今日が何日で梅雨明けまであと何日――ぼんやりとカウントしながら過ごしていたのだ。
 ツカサは何も言わず、私の手帳をじっと見ていた。
 その頃の自分の身体の状態、精神状態、周りの人たちとの関係。
 それらをひとつ残らず話した。
 お父さんに言わせてしまった言葉の数々も何もかも。
 話が進むごとにふたりの手を握る力が強くなる。
 ふたりは同じくらいの強さで手を握り返してくれた。
 だから、最後まで話すことができたのだと思う。