「先に飲め」
「先に飲もうか?」
 またしても同時に声を発するからおかしかった。
 私はクスクスと笑いながらカップを手に取り、コクコクと一気に飲み干す。
 そして、テーブルにカップを置けば、また手はつながれる。
 蒼兄や唯兄以外の人の手を取るなんて……。
 やっぱりまだ変な感じ。
 でも、あまりにも当然のようにつながれるから、それが本当に当たり前のような気がしてくるし、何よりも、私はそれで気持ちが落ち着いてしまうのだ。
 記憶は無いのに――不思議だね。