「相変わらず点滴をしているほうの手は冷たいね……」
 秋斗さんが今にも泣きそうな顔をしていて、どうしていいのかわからなくなってツカサの顔を見てしまう。
 ツカサはひとり冷静で、「話の続き」と先を促した。
 この話は私ひとりのものじゃないんだ……。
 私だけがつらい話じゃないことがひしひしと伝わってくる。
 今、この部屋にはきっと誰も入ってこられない。
 そのくらい硬質な空気に包まれていた。