「姉さんは救急の応援に入ってた。逆に、兄さんがマンションにいることは知ってたから」
「……そうか、あれはやっぱり司が気づいたんだな」
 秋斗さんがツカサを見ると、
「勉強の合間に携帯を見たらすごい数値だったから……」
 ツカサは渋々答えた。
 でも――バイタルデータは家族と秋斗さんと湊先生だけって……。
「今は転送されてない。学校でのフォローのために一時期転送されていただけ」
 ツカサはこっちを見ない。
 窓の方を向いたまま言われた。
 学校でのフォローのために……。
 私、こんなにたくさんの人の手を借りて学校へ通ってどうしたかったんだろう……。
 それだけの理由が私にはあったのかな……。