それでも私は六月六日に秋斗さんと会ったのだ。
 手をつなぎたいと言い、自分から抱きついたという。
 思い出せない。それは変わらない。
 でも、秋斗さんが嘘を言っているようには見えないし、きっと本当にあった出来事なのだろう。
 そうじゃなかったら、秋斗さんはこんなに悲しい顔をしなくていいはずだから――。