「翠葉ちゃん、お茶よ」
 栞さんがトレイにポットとカップを載せて入ってきた。
 そして、ツカサと同じように「大丈夫?」と口にする。
「……ツカサには泣きそうな顔してるって言われちゃいました」
 苦笑して答えると、「無理しなくても……」と口にする栞さんをツカサが制した。
「栞さんは仕事。ナースセンターに戻りましょう」
 ツカサの視線の先には秋斗さんがいた。
 栞さんは普段見せないような険しい表情を秋斗さんに向け、黙ったまま病室を出ていった。
「……珍しい」
 秋斗さんは、「はは」と乾いた笑いをもらす。
「仲が悪いわけじゃないんだ。ただ、俺が信用をなくすようなことばかりしてきただけ」
 そう口にしては、悲しそうな顔をした。