とんぼ玉をそっと持ち上げては自分の視界に入れ、照明に透かしてみたり、ガラス独特のひんやり感を楽しんだり。
 そうすることが早くも癖になっていた。
「寝るときくらい外せ。危ないだろ?」
「っ……!?」
 声の発せられた方を見ると、ツカサが立っていた。
 いつからっ!? いつからそこにいたのっ!?
 じゃなくて――。
「おかえりなさいっ」
 ツカサがゆっくりと歩き、ベッド脇にやってくる。
「ただいま」
 昨日の今日で、ツカサの肌は真っ赤に変化していた。
 まるで海へ行った人みたい。
「なんか……すごい日焼けしたね? 肌真っ赤」
「……数日後には落ち着く」
「ツカサも赤くなって痛いだけで焼けない人?」
「そう」
「じゃ、私と同じ!」
 ツカサの表情がふっと緩む。
 雰囲気が柔らかい……。
「ツカサ、いいことあった?」
「……いいことというよりは、最悪なことだらけの気がするけど?」
 途端、眉間にしわが寄ってしまう。