『なんていうか……とりあえず顔を見て安心したいんだけど。それから、話したいこともある』
「でも、私は別に今日退院できるわけじゃないし、ここ病院だし、明日もいるし……」
『高速を走ってる三時間は寝てられる』
「……そういうの、休んだって言わないと思うよ?」
『俺の身体は翠の身体とは出来が違う』
「それはまた……人が気にしていることをサラッと言うよねっ?」
 クスリ、と笑みをもらす声が聞こえた。
『本当に元気だな』
 いつもより声音が柔らかく聞こえる。
「……元気だよ。でも、別に脱走とか企てないし……」
『やってみてもいいんじゃない? たぶん、院内で捕獲されるのがオチだと思うけど』
「もうっ、人が心配してるのに本当にひどいっ」
『夕方過ぎにはなるけど、八時までには行くから』
「だからっ、来なくていいっっっ」
『はいはい。じゃ、またあとで』
 そう言うと、一方的に通話が切られた。
「むぅ……」
 なんだか納得がいかない……。
「でも、良かった……」
 今のツカサはいつものツカサだった――。