光のもとでⅠ

「あ、でも、手は洗わないとだめよね」
 自分の手を見てはルームウェアを見る。
「くっ、毛だらけ」
 そんなことすらおかしくて、ひとりでずっと笑っていた。
 きっと、誰かに見られていたら絶対に怪しい人だと思われことだろう。

 病室に入る手前にある洗面台で手を洗い、濡れてしまった包帯をほどいてからカイロを取り出した。
 それから新しいルームウェアを取り出し、四苦八苦しながら着替えを済ませる。
 一番苦労するのは左手に刺している点滴を袖に通すことで、それ以外は割りと普通に着ることができる。
 ただ、ボタンを留めるのは少しつらかった。
 指先が痛む。
 でも、このくらいなら平気……。
 時計を見れば二時前。
 まだ試合結果は出ていない。