「そんなところにいないで、こちらに座りませんか?」
 涼先生に声をかけられテーブルセットへ向かう。
「さ、座って」
 椅子を引いてくれた真白さんの笑顔は楓先生とそっくりだった。
「御園生さんとは一度お会いしていますが覚えていますか?」
「はい。先日はお世話になりました」
「実は、あのときからハナに会わせたいと思っていましてね」
 涼先生がにこりと笑むと、真白さんがクスクスと笑った。
「涼さんったら、会った日からずっと言っていたのよ」
「でも、ほら……現にハナは御園生さんを気に入ったようですよ?」
 涼先生は私の足元で抱っこをせがむハナちゃんを見ながら言う。
「これにはびっくりしました。ハナが初対面の人に懐くなんて……」
 それはそんなにも珍しいことなのだろうか。
「ふふ、不思議そうな顔」
 真白さんが柔らかに笑う。