午前中は気づけば携帯ゾーンにいる。
 気づけば、日々そんな過ごし方をしていた。
「またここにいたの?」
 栞さんにも呆れられてしまうくらい。
「病室は好きじゃないんです」
「でも、あまり病室らしくない病室でしょう?」
 確かにあの部屋は普通の病室には見えない。
「それでも、病室には変わりないでしょう?」
 私は苦笑いでごまかした。
「そうね。でも、お昼ご飯の時間だからお戻りいただけるかしら?」
 栞さんに仁王立ちされては戻らずにはいられない。
 病室に戻ってトレイを見て驚いた。
「オムライス……?」
「そう、味付けはかなり薄くしてあるの。匂い、ダメかな?」
 不安げな目が私をうかがっている。