「昔はな。今は誰っていうのはいねぇな。……また、自分の中身を見てくれるお姫さんを探すさ」
 それは――。
「湊先生も相馬先生の中身を見てくれた人だったっていうこと?」
「そう、あっちは覚えていないけどな」
 ちょっと知りたい……。でも、訊かないでおこう。
「いつか話してやるよ」
 先生はそう言って立ち上がり、「ゆっくり立てよ」と私に手を貸してくれた。
 絶対に慣れないと思った。
 でも、この手は怖い人の手じゃない――。