「ほかにも、過去の栄光に縋りたいヤツだとかな。そんなのクソ食らえってんだ。今を見ていないやつら、自分の中身で勝負をしていないやつらほど嫌いな人種はねぇな」
 口はすごく悪い。
 言葉も曲がりなりにもきれいとはいえない。
 でも、相馬先生の言葉には嘘がない。
「……それ、少しだけわかるかも」
「お? 話してみろや」
「……体弱いの……中途半端に知られていると、それだけで病弱って言われちゃうし、それだけでおとなしい子って決め付けられちゃう。本当の自分を見てもらう前に評価が決まっちゃう感じ……。そういうのは経験ある」
「あぁ、そういうのと変わらねぇな」
 先生は本当に面白くなさそうに話す。
「私はね、はしゃいだりするタイプの人間ではないかもしれないけれど、おとなしくてなんでも言うことをきく子でもないと思う。でも、周りはそういうふうに思っていて、知らないうちにそれに流されてる自分もいて……」