光のもとでⅠ

「なんだよ、ため息なんてつきやがって」
「……本当は優しい人だし笑うと格好いいのに、どうして第一印象が最悪なんだろう、って悩んだだけです」
「くっ、嬢ちゃんは相変わらず正直だなぁ」
 先生は身体を折り曲げ、右膝を抱えて柄悪く笑う。
「そのほうがいいこともあるぜ?」
 と、私よりも少し下から顔を覗き込まれた。
「いいこと……ですか?」
「第一印象で人を決め付ける人間なんざお払い箱だ。中身をきちんと見ようとしている人間にしか自分を見せたくねぇ」
「それでこんなに捻くれた性格なんですか?」
「はははっ、嬢ちゃんはまだ若いからなぁ……。こういうのはまだわかんねぇかもな」
 そうは言いつつも、きちんと話をしてくれた。
「肩書きやお家柄、そんなものだけで人を見てるやつらってのがいるわけだよ。そんなの面白くもなんともねぇだろ」
 肩書きやお家柄――。
 残念ながら、私にはそんなものはない。