光のもとでⅠ

 相馬先生と廊下を歩く。
 九階が静かなのは当たり前。
 だって、患者は私しかいないのだ。
 私と相馬先生と栞さん、そして時々掃除のおばさんが通るくらい。
 ほかの階は検温が始まって、みんなが置き出す時間で少し慌しい頃だろう。
 でも、さすがに朝の中庭というのは人が少ない。
 いてもひとりかふたり。
 公園のように見えなくもないけれど、公園とは少し違う。
 朝の公園といえば、一緒にペットを連れていたり、はたまた新聞を読んでいる人がいるけれど、病院では売店がまだ開いていないし、病院内にペットがいるはずもない。
 それぞれ、何をするでもなくぼーっと座っている人もいれば、ここで知り合ったのか、朝の挨拶を交わしている人もいる。
 そんな場所に、私と相馬先生のデコボココンビ。
 なんともいえない組み合わせだ。
「あのな、昨日のお姫さんとナンバーツーのこと、オフレコらしーのさ」
 先生はそんなふうに話を切り出した。