「やっぱり、気持ちを切り替えるためのアイテムなんだね」
『……翠?』
 こちらを気遣うような声音。
「私はそれを何に使っていたのか知ってる?」
『残念ながら知らない』
「そっか……」
『用件ってそれ?』
 ぐ、と私は言葉に詰まる。
「あの、えと……今日、新しい先生が来てね、相馬先生っていうのだけど……」
『あぁ、今日だったんだ』
「うん、すごく怖い顔をしていて、喋る言葉も乱暴で、苦手意識を持っちゃったの」
『翠ならそうあってもおかしくないんじゃない?』
 ツカサは何を疑問に思うでもなく、普通のことのように言葉を返してくる。
「でもね、実はすごく優しい先生なのかもしれないってさっき気づいて……」
『そう』