『だって、私は会ったことがないもの。百聞は一見にしかず、って言うでしょ? 人からあーだこーだ聞いたところで、実際には会ってみないとわからないって話よ』
 そう言われてみればそうだ。
「なんだか桃華さんと話していると、ツカサと話してる気分になる」
 思わず笑いがこみ上げてきた。
 きっと、ツカサも同じようなことを言ったんじゃないだろうか。
『それ、ものすごく嫌だわ……』
「本当はね、ツカサにかけたかったの」
『あら、私は二番手さん?』
 冷笑でも浮かべていそうな抑揚のある声が聞こえてきた。
「ツカサはインターハイ真っ只中だから、頻繁にかけるのはよくないかな、って。それでほかに電話をかけられる人を考えたのだけど、桃華さんしかいなくて」
『それは喜んでもいいのかしら……』
 桃華さんは少し悩みつつ、
『藤宮司に電話すればよかったのに』