光のもとでⅠ

 先生は面白そうに笑って、
「電話しに行くんだろ? 身体冷やすなよ」
 それだけ言って私のカルテを手に取った。
 即ち、話は終了。

 カラコロカラコロ――。
 点滴スタンドの音が廊下に響く。
 あんな膨大なカルテをいったいどのくらいの時間をかけて見るのだろう……。
 少し考えただけでもぞっとする。
 携帯ゾーンに着くと、携帯を目の前に唖然とした。
「どうしよう……」
 ツカサに電話する前に問題が解決してしまった……。
 今の出来事を話したらなんて言われるだろうか。
 そのまま携帯をじっと見つめていたら、あっという間に十分が経過していた。
 話す内容はなくなっちゃったんだけど、でも、電話かけてもいいかな……?
 すでに十分間も悩んだというのに答えが出ない。