光のもとでⅠ

「相馬先生がさ、自分が一緒じゃ食べられるものも食べられなくなりそうだから、って起きる頃を見計らって夕飯の相手してやれって連絡くれたんだ」
 相馬先生……。
「楓先生……相馬先生をどう思いますか?」
「……そうだなぁ。治療をするところは見ていないけど、痛みが取れたんでしょう? それからすれば腕はいいんじゃないかな。それに俺を呼ぶくらいには懐も深そうだけど?」
 そうだよね、そうなんだよね……。
 昇さんなら間違いなく、患者と医者のコミュニケーションだ、とか言って自分が夕飯の相手をしようとしただろう。
 でも、相馬先生は楓先生を呼んでくれた。
「……怖いのは顔だけで、実はそんなに怖い人じゃないのかな」
 楓先生は再度クスクスと笑い、夕飯のトレイを持ってくる、と病室を出ていった。
「怖いのは顔だけ――」
 なんだか、あんなに怖がったのが早くも少し申し訳なく思えてくる。