一瞬手を引っ込めそうになったけど、刺された鍼は本当に痛くなかった。
 少しチク、とする程度。
「これで、いいんですか……?」
「あぁ、最初はこんな感じで始めていく。それでもきちんと効果はある」
 刺された針はてろん、とミニチュアの釣竿がしなっているような感じ。
「ただ、カイロも鍼も、最初はすごく身体が疲れるんだ。だから、一日にどちらかしかしない。今日の治療はここまでだ」
「あの、歪んでる部分はしだいに治るんでしょうか?」
 蒼兄が訊くと、
「時間はかかるが歪む場所がパターン化してきたらこっちのもんだ」
 先生は勝気な顔をした。
 唯兄はというと、
「思ってたよりも痛そうな治療じゃないみたいで良かったね?」
 確かに、ブロックよりは断然楽だし、強い薬を注射されて眠らされるよりはいい。
 それに加え、なぜか痛みが軽減した気がするから不思議だ。