昼食も全部食べることはできなかった。
 そういうのを見るたびに、高カロリー輸液の存在を強く感じる。
 透明な液体を見ながら、「私のライフラインなんだな」と再認識すると同時に、「食べなくちゃ」という強迫観念に駆られる。
 食べなくちゃ、と思うのに身体が受け付けない。
 どれだけ咀嚼しても飲み下せない。
 こういうことが続くと、どうしてもご飯の時間が迫ってくるにつれ憂鬱になる。
 藤原さんが完食できなかったトレイを手に持つと、
「少し休んだら?」
「……はい」
「御園生さんもがんばっているけど、遠くでは友達もがんばってるんじゃない?」
 藤原さんはそう言い残して病室を出ていった。