翠の記憶は戻るのだろうか――。
「記憶に纏わる話をしても、それを聞いたからといって思い出せるわけではないらしい」
『そうなのね……。誕生会兼生徒会就任式のアルバムを持っていったけど、そんな感じだったわ』
「そうか……」
『ちょっと、しっかりしなさいよねっ!? 記憶があってもなくても翠葉は翠葉でしょっ?』
 まいったな……。
 俺が翠に言った言葉をことごとく簾条に言われている始末だ。
「……簾条でも役に立つことがあるんだな」
『失礼ねっ!? 切るわよっ!?』
 声が大きくなったかと思えば一気に静かになる。