『じゃ、数えるよ?』
翠は戸惑いを帯びた声を発し、すぐに数を数え始めた。
以前、俺が翠に数えたときと同じように一定のテンポで。
俺が何度も言わされたように、何度でも聞いていたかった。
でも、ずっとそこにいさせるわけにもいかない。
そう思って振り返り病棟を見上げる。
携帯ゾーンがある場所は、ガラス張りの六角柱が飛び出したようなつくりになっている。
そこを見ながら、
「最後、一緒に数えて」
『うん』
ふたりの声が重なったとき、ふわりと優しく風が頬を撫でていった。
数え終わってもまだ九階を見ていると、
『……ツカサ、大丈夫だから、がんばってね』
「ありがとう。じゃ、おやすみ」
最後、少し強引な切り方だったかもしれない。
そんなところもあの日の電話と変わらない。
翠は戸惑いを帯びた声を発し、すぐに数を数え始めた。
以前、俺が翠に数えたときと同じように一定のテンポで。
俺が何度も言わされたように、何度でも聞いていたかった。
でも、ずっとそこにいさせるわけにもいかない。
そう思って振り返り病棟を見上げる。
携帯ゾーンがある場所は、ガラス張りの六角柱が飛び出したようなつくりになっている。
そこを見ながら、
「最後、一緒に数えて」
『うん』
ふたりの声が重なったとき、ふわりと優しく風が頬を撫でていった。
数え終わってもまだ九階を見ていると、
『……ツカサ、大丈夫だから、がんばってね』
「ありがとう。じゃ、おやすみ」
最後、少し強引な切り方だったかもしれない。
そんなところもあの日の電話と変わらない。


