「けど、あのお姫さん気づいてないよな? ある意味すごくね?」
 すごいっていうか、
「ただ単に鈍いだけ。底抜けに――」
「くっ、おっもしれー! 司がそんなふうに感情見せるのって珍しいよな!」
 ……なんとでも言え。
「確かにかわいいと思うけどさ、どこに惚れたの?」
 どこ――?
「何それ……」
 訊かれた意味がわからなかったわけじゃない。
 けど、訊き返さずにはいられなかった。
「え? 普通ねぇ? 顔が好みとか仕草がかわいいとか、性格が合うとか話してて楽しいとか」