「……そうでしたか」
「えぇ。さ、御園生さんは寝る前の薬を飲みましょう」
 ポケットからピルケースを取り出すと、
「あら、お水忘れちゃったわ。秋斗くん、持ってきてくれるかしら?」
 計算づく、か――。
「えぇ、よろこんで」
 俺は笑顔で引き受け病室を出た。
 じーさんの専属がここに配属されていることは知らなかった。
 ――いや、知らされていなかった、の間違いか?
 けど、あの人がついているなら安心だ。
 それはどんな意味でも……。
 俺の理性が抑えられなくなっても、あの人なら難なく邪魔をしてくれるだろう。
 そういう意味では計算外でも良かったと思える。