ひとつひとつセキュリティを解除していくと、彼女の身体がどんどん強張っていく。
 それは身体だけではなく表情も何もかも。
 ここは人を守ることに適してはいるが、それはつまり、軟禁にも適した場所ということだ。
「そこが警備員が詰める部屋。ここがナースセンターの代わりになる場所。翠葉ちゃんの使う部屋は現会長が奥さんのために改装した部屋だ」
 そんなふうに、ところどころにある部屋を説明しながら歩き、とあるドアの前で足を止める。
 ドアを開き中へ入れると、彼女はいつものように部屋の観察を始めた。
 ここにある家具はどれもオーダーメイドだ。
 きっと彼女にはわかるだろう。
 そして、ここにはLRDシステムという出産の際には分娩室に早変わりする部屋でもある。
 通常のクローゼットもあるが、ほかにも家具の様相をしているものの中には医療器具が内臓されている。