「だから? なら、その気持ちを利用してでも俺は彼女を手に入れたいかな」
「っ…………」
「俺、急いでるんだけど」
 そう言うと、司は飛び出すように玄関を出ていった。
 玄関のドアが閉まり、「悪い」ともらす。
 ほかの方法が見つからなかったんだ。

 簡単に身だしなみを整えると、車のキーを持って家を出た。
 エレベーターを呼びながらじーさんに電話をする。
 つながるかはわからなかった。
 三コールめで通話がつながり、
『秋斗から電話とは珍しいのぉ』
「じーさん、お願いがある」
『なんぞ? 秋斗からのお願いなぞ、気持ちが悪くて仕方がない』