「くそ……眠れそうにねぇ」
 仕方なくカップにお湯を注ぎ、ブラックのまま口にした。
 カタリ――音がして、栞が起きてきたことを知らせる。
「昇……?」
 どこか不安げな声を発した栞は寝室のドアからこちらへと歩いてくる。
「悪いな、起こしたか?」
「……ううん、なんとなく起きちゃっただけ」
 栞は不安そうな顔をして手を伸ばしてくる。
「栞……?」
 栞の手を取り、自分の隣に座らせると、俺の胸に顔をうずめた。
「いるよね、ちゃんと……」
 くぐもった声が胸もとから聞こえた。