夕方を少し回ると、
「零樹さん、夕飯です」
 と、栞ちゃんから内線が入った。
「ありがとう、すぐに下りるよ」

 ダイニングではみんなが揃っていた。
 つまり、碧に蒼樹、唯くんに栞ちゃんだ。
 栞ちゃんが食べやすいものを作ってくれているから、碧も経口摂取ができるようになっていたし、戻すこととお腹を壊すこともなくなった。
 薬が効いているのかもしれない。
 今、自分の斜め前に座るのは唯くん。
 彼は翠葉が座る場所に座っている。
 彼は自分たち家族が翠葉の話で行き詰まるときには、何かしら助け舟を出してくれていた。