無言、か――。
 さすがにこれは図々しかったか……。
「……司、くん?」
 くっ……とことん素直なやつ。
 そんな相手に俺は調子に乗る。
「敬称禁止」
「……ツカサ?」
 翠葉は首を傾げて口にした。
「よくできました」
「ツカサ……」
「何?」
「……ツカサ」
「だから、何」
「……なんでもないです」
 よくわからない言動。
 呼んでは俺の顔を見て、また俺を呼ぶ。
 でも、その間の表情の変化が著しくて、止めるに止められなかった。
 徐々に表情が柔らかくなる――そんな気がしたから。