光のもとでⅠ

「あのね、人を傷つけたら私が傷つくの。人を傷つけたことに負い目を感じるの。だから、大切な人をみんな遠ざけた。自己防衛を含めて遠ざけてきた。そしたら、私は傷ついていないのに、遠ざけた時点でみんなを傷つけてた――知らなかった」
「……気づけて良かったんじゃない?」
 重ねた手はそのままに本を読み始める。
 でも、それはポーズだけで本当は内容なんて少しも頭に入ってこなかった。
 俺はそこまで考えて人と会話しないし、自分が放った言葉による影響なんて翠ほどには考えない。
 こんなにもダメージを受ける翠を理解することはできない。
 でも、翠のこの人と向き合う姿勢に新鮮なものを感じていた。
 こんな人間だから、俺みたいな人間でも向き合ってもらえるのだろうか……。
 けど――何も今でなくてもいい気がする。