光のもとでⅠ

「それを誰が伝えてくれたら一番効果的かしら?」
「……わかった、俺から言っておく」
 母さんはおっとりとしているが、こういうところでは人使いが荒い気がする。
 キッチンカウンターから渡された料理はミートスパゲティと予想していたサラダ。それから、玉ねぎとワカメ、豆腐のスープだった。
 このスープやサラダは翠も好きそうなメニューだな……。
 そんなことを思いながら、テーブルに並べていく。
「母さん、ハナが見当たらないけど?」
 食べ物の気配がするとすぐに現れるハナがいない。
「たぶん書庫で寝てるんだと思うわ」
「ふーん……」
 我が家の愛家、真っ白チワワのハナは書庫が好きだ。
 決して本を読むわけではなく、一階で一番涼しい場所、それが書庫なのだ。