「あのね、明日、お父さんが現場に戻るの。その前にお父さんにだけは会うことになって……でも、少し怖くて……。何を話したらいいのかわからないの」
「で、なんで俺を見て泣くかな……」
 頭痛がしてきそうでこめかみを押さえる。
「世間話って何があるのか訊きたかったんです。そしたら、目の前に先輩がいたからびっくりして……」
 なんだよそれ……。
 さっきの、「どうしようかな」は俺に電話をしようかどうしようか、だったのか?
 それとも、世間話に何があるか悩んでのものだったのか――どっちなんだよ。
 思わず脱力してベッドに突っ伏す。