「司、どこ行くん?」
「野暮用」
「ふーん、この暑い中よく外に出る気になるな?」
 ケンといくつか言葉を交わしてから弓道場をあとにした。
 部室に戻ってタオルを濡らし、身体の汗を拭う。
 制服に着替えると昼食のおにぎりをふたつ食べ、お茶を飲み干して部室を出た。
 昼時なら翠も起きているだろう。
 そう思い、自転車で病院へ向かうと、病院に着く頃には再び汗をかいていた。
 ハンカチで額の汗を拭い、正面玄関に留まる。
 ここだけは冷房の温度が低めに設定されているため、しばらくそこにいると汗は引いた。